脳神経外科
診療科紹介
脳神経外科では頭蓋内疾患に対する手術と放射線治療を行っています。一般当直以外に神経系として神経内科と脳神経外科とのいずれかが毎日当直し、くも膜下出血や外傷をはじめとして神経疾患一般に対応しています。くも膜下出血にも24時間対応し、原則として早期の積極的治療を行っています。当科では開頭術および血管内治療による塞栓術の両方が可能であり、症例ごとに適切な治療法を選択しています。くも膜下出血や未破裂脳動脈瘤等の血管障害や頭部外傷に加え、脳腫瘍症例が多いことが当科の大きな特徴です。頭蓋底腫瘍や悪性脳腫瘍などの治療困難な腫瘍に対しても、手術とともに最新の高精度放射線治療を組み合わせた治療を行っています。
当院は脳定位的放射線治療装置ガンマナイフを有し、これは当科の大きな特色といえます。適応疾患は聴神経腫瘍、髄膜腫、転移性脳腫瘍、神経膠腫、下垂体腫瘍、三叉神経鞘腫、脳動静脈奇形、三叉神経痛など多岐にわたっています。当院のガンマナイフ治療件数は2020年3月に総数12,000例を超えました。
更に当院では新たな定位放射線治療装置であるノバリスの最新機種「ノバリスSTx」が日本第1号機として2014年4月から稼働しています。ノバリスSTxは定位放射線照射専用に開発されたリニアック照射装置です。多方向から照射される放射線をビームごとに強度を変化させて照射する強度変調照射(IMRT)などの多様な治療計画を可能とするソフトウェアと、精度の高い照射技術、赤外線とX線の監視システムによる体動追跡、微修正機能などのハードウェアが最適に融合した非常に優れた装置と言えます。従来から行っているガンマナイフ治療に加えノバリスSTxでの照射を開始することにより数ミリ大の微小病変から3センチを超えるような比較的大きな病変までの放射線治療が可能となり、開頭手術と同様の治療効果が期待され、かつ副作用や体の負担が極めて少ない最先端の治療を提供できると考えております。
当科では転移性脳腫瘍をはじめとするあらゆる良・悪性脳腫瘍に対して、手術・化学療法・ガンマナイフやノバリスSTxによる定位放射線治療やIMRT、全脳照射等を駆使した集学的治療が可能です。
扱う疾患
脳腫瘍
脳原発腫瘍、転移性脳腫瘍のいずれにも積極的な治療を行っています。当科では多くの脳腫瘍に対する開頭手術を行っており、脳腫瘍症例が非常に多いことが特徴の一つです。開頭手術に加え、リニアックやガンマナイフといった放射線治療、抗腫瘍剤による化学療法を適宜組み合わせ、カンファレンスの中で各患者さんについて最も適切な治療法を決定しています。下垂体腫瘍に対しては、開頭手術よりもむしろ内視鏡下経蝶形骨洞腫瘍摘出術により腫瘍の全摘出を目指し、更に摘出困難な例に対してはガンマナイフ治療を組み合わせ、より高い治療効果を得ています。なお、ガンマナイフは当科の持つ非常に有力な武器であることに間違いありませんが、我々は安易にガンマナイフ治療に委ねてしまうことは厳に慎むべきと考えています。脳腫瘍治療の原則は手術による摘出であり、可能な限り手術により全摘出を目指します。
脳血管障害
脳出血や脳梗塞に対しては神経内科とともに治療にあたります。クモ膜下出血に対しては患者さんの状態が許せば可能な限り急性期に手術(クリッピング術)を行っていますが、必要に応じてコイル塞栓術も考慮します。未破裂脳動脈瘤の患者さんに対しては、患者さんごとに動脈瘤の部位・大きさ・形状、年齢や全身状態等を慎重に判断し、患者さんとも充分にお話をしていきながら方針を決定しています。
また、頚部頚動脈狭窄症も増加傾向にあり、当科では開院当初より内膜剥離術を積極的に行っていますが、全身麻酔のリスクが高い患者さんにはステント留置(CAS)を選択しています。
頭部外傷
頭部外傷の患者さんは緊急性が高いことが多く、随時対応しています。開頭術による血腫除去や外減圧術等の外科的処置のみならず、ICUにおける集中管理や早期からのリハビリを行っています。また、慢性硬膜下血腫症例も多く、大部分の患者さんが1週間程度で退院されています。
機能的脳神経外科
顔面痙攣や三叉神経痛に対する手術も行っています。これらの疾患は頭蓋内で血管と神経が接触することにより起こることがわかっています。このため神経と血管の接触部位を注意深く確認して両者を引き離す微小血管減圧術を行っています。この手術においては合併症として手術側の聴力低下のリスクがあります。当科ではこのリスクをできるだけ軽減するために本手術の際にはABR(聴性脳幹反応)のモニタリングを行っています。
その他
先天奇形やクモ膜下出血後、あるいは原因の明らかでない特発性の水頭症に対してはシャント手術を行っています。治療可能な痴呆症の原因疾患として知られる特発性正常圧水頭症に対しては神経内科と協力しながら積極的に治療しています。当科では年間20例以上の水頭症に対するシャント手術を行っています。
いずれの疾患の治療においても、患者さんご本人やご家族のインフォームド・コンセントを重視し、治療方針を決定しています。
脳定位放射線治療
当院は頭蓋内病変に対する定位放射線(ピンポイント照射)治療装置として、ガンマナイフとノバリスSTxの2台を有しています。
ガンマナイフは半球状に配置された192個のコバルト線源から出たガンマ線を頭蓋内病変に極めて正確に集束し高線量として照射します。病変周囲の脳実質や血管などには照射線量は極めて少なく、放射線の影響が最小限になります。従来の手術では到達困難な脳深部や危険な部位でも治療が可能です。なお、現在当科ではフレーム固定の際は鎮静下に無痛で行っておりますので、固定時の痛みを感じることはありません。
加えて当科ではガンマナイフアイコンと呼ばれる、フェイスマスクを用いたフレーム固定を行わないガンマナイフ治療も可能です。
ノバリスSTxは定位放射線照射専用に開発されたリニアック照射装置です。多方向から照射される放射線をビームごとに強度を変化させて照射する強度変調照射(IMRT)などの多様な治療計画が可能です。患者さんの頭部を固定する際のヘッドピンは不要で、マスクによる非侵襲的な固定で照射が可能です。治療適応としては腫瘍体積の大きな病変(転移性脳腫瘍や髄膜腫、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫などの良性腫瘍)や神経膠腫のようなびまん性に浸潤する腫瘍などが対象となります。
ノバリスSTxによりこれらの病変に対して複数回での分割照射が可能となり、高率な腫瘍制御効果が期待できます。
スタッフ紹介
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副院長 / 脳神経外科部長
周藤 高/ しゅうとう たかし
卒業年次 平成元年 専門分野 脳定位放射線治療、脳腫瘍手術、脳血管障害手術 学会専門医・認定医:
日本脳神経外科学会専門医 日本脳卒中の外科学会技術指導医 日本脳卒中学会専門医
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脳ドック部部長 /脳神経外科副部長
松永 成生/ まつなが しげお
卒業年次 平成10年 専門分野 脳定位放射線治療、脳腫瘍手術、脳血管障害手術、神経内視鏡手術、脳ドック 学会専門医・認定医:
日本脳神経外科学会指導医、日本脳卒中の外科学会技術指導医、日本脳卒中学会指導医、日本神経内視鏡学会技術認定医
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医師
笹目 丈/ ささめ じょう
卒業年次 平成24年 学会専門医・認定医:
日本脳神経外科学会専門医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、日本脳卒中学会専門医
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医師
大垣 福太朗/ おおがき ふくたろう
卒業年次 平成28年 学会専門医・認定医:
日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本神経内視鏡学会神経内視鏡技術認定医
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医師
伏見 修人/ ふしみ しゅうと
卒業年次 令和2年 専門分野 脳神経外科一般 -
医師
松井 隆浩/
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医師
會見 比佐夫/ あいみ ひさお
卒業年次 令和3年 専門分野 脳神経外科一般
外来担当医表
診察時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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午前 | ☆松永 伏見 |
〇★周藤 笹目 松井 |
大垣 會見 | ||
午後 | 【ガンマナイフ】 ☆松永 |
(ガンマナイフ)〇★周藤 ☆松永 |
(ガンマナイフ)〇★周藤 ☆松永 |
(注)★印: 部長 ☆印: 副部長
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一般外来は月・水・金曜日で原則として午前中ですが、緊急を要する場合は随時受け付けております。
火・木曜日は手術日のため一般外来診療は行っておりません。 -
ガンマナイフやノバリスSTx による放射線治療に関するご紹介は、午後の「脳定位センター紹介枠」でのご予約をお願いいたします。いずれの紹介枠も概ね一週間以内には予約が可能となっております。
万が一、予約可能日までお待たせしてしまう場合や緊急の際には、遠慮なく周藤(部長)あるいは松永(副部長)までお電話ください。
診療実績
脳腫瘍摘出術 | 39件 |
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開頭クリッピング術 | 8件 |
脳動静脈奇形摘出術 | 0件 |
頸動脈内膜剥離術 | 0件 |
開頭血腫除去術等 | 11件 |
頭部外傷に対する手術 | 5件 |
バイパス手術 | 3件 |
慢性硬膜下血腫 | 33件 |
水頭症に対する手術 | 36件 |
脳神経減圧術 | 3件 |
血管内手術 | 105件 |
脳定位放射線治療 | 620件 |
その他 | 36件 |
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