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手根管症候群について2

治療方法

治療は、基本的にまず保存的治療から開始します。手の過使用を避け、手関節装具の使用やビタミンB12製剤の内服を行う場合もあります。既にこれらの治療を行ってきた方も多く、当科では副腎皮質ステロイド剤の一つであるケナコルトと局所麻酔薬の手根管内注射を積極的に行っています。ただし、糖尿病があってコントロール不良の方には、感染症のリスクがあるので行えません。感覚障害が主体の場合には、年に数回程度の手根管内注射で治療を継続している方もいます。

頻回の手根管内注射が必要な方や母指球筋に萎縮が生じた方には、手術治療をお勧めしています。当科では、1泊2日の入院で、局所麻酔下に手掌内 4cmの皮膚切開で直視下に横手根靱帯を切離する手根管開放術を行っています。特に、母指球筋萎縮がある方では、正中神経本幹から分岐する運動枝を筋入口部まで確実に除圧しています(下図右:矢印)。筋萎縮が著しい重症の方でも回復することが多く、母指対立再建術まで行うのはごく稀です。当科では、年20-30件程度の直視下手根管開放術を行っていますが、運動枝の除圧ができないなどの理由で内視鏡を用いる手術は行っておりません。

現在、日本手外科学会認定手外科専門医・指導医、日本臨床神経生理学会専門医(筋電図・神経伝導分野)である山本部長を中心に診療を行っています。水曜・木曜午後に手・末梢神経外科専門外来を設けており、当院予約センターへの電話で初診予約が可能です。受診の際は紹介状を必ずお持ちください。(腱鞘炎)の合併が多いのも特徴です