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手術実績:膀胱癌

膀胱癌 (2021年度 TUR-Bt:144例 膀胱全摘術:8例)
(尿路変更:回腸導管4例 尿管皮膚ろう3例 代用膀胱造設術1例)

多くの場合、肉眼的な血尿を主症状として発見されます。まれに繰り返す膀胱炎症状や、顕微鏡的な血尿で発見されることがあります。外来で膀胱内を膀胱鏡(当院では軟性膀胱鏡)で観察し隆起性の腫瘍を認めた場合には、入院・麻酔下にTUR-Bt(経尿道的膀胱腫瘍切除術)を施行します。

治療方針
表在性膀胱癌

TUR-Btで切除した組織標本で癌の診断となった場合、膀胱癌の診断となります。膀胱粘膜(Ta)や粘膜下組織(T1)までの膀胱癌の場合には表在性膀胱癌の診断となり、この手術で根本的には完治することができます。しかし、癌細胞の悪性度が高い(Grade 3)場合は、追加治療として2nd- TUR(膀胱内の癌があった部分を後日、再度より深く内視鏡的に切除するTUR-Bt)を施行したり、上皮内癌の治療・多発腫瘍の再発予防目的にBCG膀胱内注入療法(外来通院)を積極的に行っております。

浸潤性膀胱癌

膀胱筋層(T2)まで膀胱癌が浸潤している場合には浸潤性癌の診断になり、根治的治療として手術(膀胱全摘術+尿路変向術)または、膀胱温存療法(手術せずに抗癌剤の動注と放射線治療の同時併用)を勧めます。尿路変向術は、癌の進行度・局在・年齢などを考慮し、相談に応じて以下の尿路変更術を施行します。膀胱全摘の際は2017年より腹腔鏡下膀胱手術、2018年よりロボット支援下膀胱全摘手術を行っています。

代用膀胱造設(腸管を45cmほどきりだし、その腸管で新しい膀胱を作り、自然な形で排尿をすることができる)
回腸導管造設(腸管を20cmほど切り出し、一方を尿管と吻合し、もう一方を腹部に植え付けることによって採尿袋に溜める、尿の人工肛門を造設)
尿管皮膚ろう(腸管を用いず、尿管を直接腹壁に縫い付けて採尿袋に溜める、尿の人工肛門を造設)

転移性膀胱癌

膀胱癌が肺やリンパ節に転移を来している場合には、TUR-Btにて膀胱内の腫瘍が膀胱癌であることを確定した後、抗がん剤治療および必要な方には尿路変更術を行います。

治療成績

2012年度は表在性癌に対する経尿道的手術は162例に、膀胱全摘・尿路変向術は13例に施行しました(うち尿路変更術は回腸等管造設10例、新膀胱造設術1例、尿管皮膚瘻2例です)。浸潤性膀胱癌に対する膀胱温存療法として抗癌剤の動注と放射線治療の同時併用治療を7例に施行しました。この治療法(膀胱温存療法)における当院の成績では生命予後は手術治療とほぼ同等の成績でしたが、この治療法に関しては適応を慎重に選ぶ必要があります。