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カテーテル治療対象疾患 期外収縮(きがいしゅうしゅく)

期外収縮(きがいしゅうしゅく)
【この不整脈の起こるしくみ】

心臓には四つの部屋(右心房・左心房・右心室・左心室)があり、電気の信号によって順番に収縮しています。安静時で毎分50〜100回の電気刺激が規則的に出現し、それによって心臓は規則的な収縮を繰り返しています(この正常な状態を洞調律といいます)。期外収縮とはこの正常の電気刺激の道筋から外れたところから別の電気刺激が発生し、そのために脈が乱れることをいいます。この異常な電気の発生する部位が心房の場合『上室期外収縮』といい、心室の場合『心室期外収縮』といいます。これらの不整脈は健康診断などでよく見つかる、もっともありふれた不整脈のひとつです。

【症状】

期外収縮の症状は人それぞれで、何も感じない人(無症状)から強い症状を訴える人までいます。感じ方も様々で、規則的な鼓動の間の一瞬「つまったような感じ」、「心臓が止まったような感じ」、「大きな脈が出る感じ」、「のどが押される感じ」、「心臓がひっくり返ったような感じ」などの表現が多いようです。また、動いている時より安静にしている時の方が敏感に脈の乱れを感じる人が多いようです。

【原因・誘因】

期外収縮が生じる原因となる病気には、心臓弁膜症、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、高血圧、肺疾患などがあります。これらの病気がある場合にはこれらの基礎となる病気の治療をしなければなりません。基礎心疾患の有無は心臓エコー図検査・運動負荷心電図・心筋シンチグラムなどで調べることができます。しかし基礎疾患があるのは期外収縮の患者さんの一部で、大多数のかたには基礎となる病気はみつかりません。また期外収縮の誘因となるものには、飲酒・喫煙・ストレス・過労・寝不足などがあり、それらに関しても避けるように注意しなければなりません。

【診断】

健康診断などで病院に紹介される期外収縮の患者さんの約95%は治療の必要がありません。しかし、残りの約5%の患者さんには単なる期外収縮からさらに悪性度の高い不整脈に発展する可能性があるため、治療が必要となります。この判断の基準となるのは、(1)基礎心疾患の有無と、(2)期外収縮の連発数です。そのような期外収縮の「悪性度」を調べるために、運動負荷心電図、24時間心電図(ホルター心電図)、加算平均心電図などを行います。治療の要否と症状の強弱は基本的に関係ありません。たとえ無症状でも治療が必要なこともありますし、症状が強くても医学的には治療が不要な場合もあります。

【治療】

診断の結果、治療が必要となれば、抗不整脈薬などの治療を開始します。ただし、すべての患者さん、あるいはすべての不整脈に有効な抗不整脈薬というものはありません。ある抗不整脈薬はある患者さんには有効でも別の患者さんには無効であったり、逆に悪化させることすらあります。効く薬、効かない薬は患者さんそれぞれで異なります。効果的な抗不整脈薬が見つかった場合、その薬剤を長期服用することとなります。不整脈の薬はその不整脈を根本的に治してしまう薬ではありません。あくまで薬が効いている間だけ期外収縮の発生を抑制しているにすぎません。ですから薬を服用して期外収縮が消失しても、服用を中止すればまた期外収縮は出現してきます。ふつうは数ヶ月〜数年間、抗不整脈薬を服用して経過をみることになります。外来では薬剤内服中の期外収縮の程度や副作用出現の有無などをチェックします。時間の経過とともに期外収縮の程度・悪性度が変化して、抗不整脈薬の服用が中止できる患者さんもいますし、逆に抗不整脈薬を変更しなければならない患者さんもいます。

中には高周波カテーテル焼灼術という治療法が有効で、以後抗不整脈薬の内服が不要となる患者さんもいます。この治療には3-5日の入院が必要です。  期外収縮の悪性度から医学的には治療の必要がないと判断された場合は、前述の誘因を避けるように心がけるだけで、特に内服治療は必要ありません。ただし、期外収縮の特性に変化がないかどうか年に1回程度外来でチェックする必要があります。医学的には治療の必要はなくても、期外収縮の症状がどうしても強くて治療を希望される場合には、精神安定剤や軽い抗不整脈薬などで様子を見ることとなります。