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心臓植込み型電気的デバイス ペースメーカー交換

ペースメーカー交換について
ペースメーカーの電池消耗について

ペースメーカーは、内蔵されている電池によって動いています。ペースメーカーの電池は作動状況や必要な出力によって大きな個人差がありますが、平均7~10年で交換時期となります。電池が切れてしまうと、ペースメーカーは作動を停止するため、ペースメーカー植込み前の状況に戻り、徐脈性不整脈や心不全をきたし、めまい・意識消失・失神の発作が出現する危険性があります。高度の房室ブロックでは生命の危険性もあります。従って、電池が切れる前に、ペースメーカーのチェックにて、交換が必要な指標を認めると交換手術が必要となります。

ペースメーカージェネレーター交換術の方法(含麻酔法)

ペースメーカーが挿入されている皮膚に局所麻酔を行います。局所麻酔とは歯を抜くときなどに使う麻酔と同じ麻酔です。皮膚を切開して現在挿入されているペースメーカージェネレーターを皮下より取り出します。痛みが強い場合には点滴による痛み止めを追加いたしますので、疼痛が強い旨お伝え下さい。ただしジェネレーターの周辺には今後も使用するリードが挿入されているため、針で傷つけないよう、リード近傍には十分な局所麻酔を打てない場合があります。ジェネレーターとリードの接続を外してリード自体に問題がないかチェックを行います。患者さんによってはジェネレーターを外した時に脈が極端に遅くなることを防ぐために、右足の付け根にも局所麻酔をおこなって大腿静脈から一時的な電極カテーテルを心臓内に留置する場合があります(手術終了時に抜去します)。リードに問題がなければ、新たなジェネレーターと既存のリードを接続して先程まで古いジェネレーターが入っていた皮下のポケットに挿入します。ジェネレーターの形態の違いにより入りにくい場合には新しいジェネレーターに合わせて創部を広げる必要があります。ポケット内に収まったら皮膚を縫合して手術は終了です。尚、術前もしくは術中のチェックで、リードに問題がある場合には新たなリードが必要となる事もあります。リードが挿入されている静脈の開存を造影剤で確認の上、新たなリード追加が必要となったり、静脈が閉塞している場合には反対側からのペースメーカー新規植込みが必要となったりする場合があります。手術はすべて局所麻酔下で意識のある状態で行います。

ほとんどの場合ペースメーカー本体だけの交換で済みますので、手術に要する時間は平均1時間弱です。通常の場合、病棟に帰った後1時間後には歩行が可能になりますが、足の付け根から一時的な電極カテーテルの挿入を行った場合には、右足を伸ばしたままの姿勢で数時間安静を保っていただきます。新たなリードの追加を行った場合にはその限りではない場合もありますので主治医の指示に従ってください。入院期間に関しては経過が良ければ手術翌日に退院可能です。ただし、創部の状態によっては入院継続での経過観察が必要な場合もあり、主治医が創部を見て判断します。

ペースメーカー交換術後の経過・処置・注意点

入院期間に関しては経過が良ければ手術翌日に退院可能です。ただし、創部の状態によっては入院継続での経過観察が必要な場合もあり、主治医が創部を見て判断します。術後数日間感染防止のため抗生物質の投与を行います。創部が安定するのに1週間程度かかりますので、外来で創部の経過を見させていただきます。縫合の方法はそのときの状況により使用するものが異なりますが、手術用のホチキスでの縫合を行った場合は外来で抜鉤を行います。

院後は全く普通の生活でかまいません。入浴などに関しては創部を見て主治医が判断します。植え込み部をあまり強くこすることは控えていただく方が良いですが、石鹸で洗ったり、湯船に浸かったりしてもかまわないので皮膚を清潔に保つようにしてください。植え込んだ側の腕はあまり創部をかばっていると、筋肉が硬くなってしまいその後に肩こりや肩関節痛がひどくなります。従って強い挙上を避けていただければ普通にしてもらってかまいません。軽い腕の体操も行って結構です。

退院後は通常の外来受診で創部のチェック、その後は6ヶ月から1年に一度、ペースメーカー・クリニック(ペースメーカー外来)を受診していただきます。