メール相談から学ぶ働く人のメンタルヘルス(第44回) 2023年10月13日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
- ※新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、タイトルを一新しました。今後はより広い形で、働く人のメンタルヘルスについて発信していきます。
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事例㊹ 悩みを理解してもらえるか不安です。
(相談者 男性 30代 技術職)
【相談メール】
困り事があると、同じような経験をしていたり、共通点がある人にアドバイスを求めることが多いです。この度、体調を崩し、職場から病院やカウンセリングを勧められました。専門家とはいえ、全く違う境遇の人の悩みを理解できるものなのでしょうか?
【回答メール】
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一般的に、悩みの相談に乗る時は、自分の感情や経験を照らし合わせ、それに基づいて気持ちを察したり、アドバイスをすることが多いと思います。
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そう考えると、同じような経験がある人には理解されやすく、そうではない人には理解されにくい―と思うのは当然です。
ただ、メンタルの専門家には、それは当てはまりません。たとえば、独身の男性医師では主婦の子育ての悩みに対応できないかというと、そうでもありません。逆に、人生経験豊富な年配のカウンセラーならどんな相談にも対応できる―というわけでもないのです。
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私たちは「傾聴」や「共感」という技術をもとに患者さんとお話しします。それは、相手の考え方や状況を、相手の基準で、あたかも自分が感じているかのように聴くことです。
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「自分にも共通点があるからあなたの気持ちはよくわかる」「自分はその経験がないからよくわからない」というのは、自分が基準になっていますから、専門家としてはむしろ未熟と言えます。
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もちろん、あなたの感覚として、医師やカウンセラーの性別、年齢、その他の条件で初回の話しやすさが大きく変わるようであれば、希望は遠慮なく伝えてよいでしょう。ただ、治療者としては、条件にかかわらずきちんと専門的に関わることができます。安心して受診や相談をしてください。
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【対応のポイント】
このような思いを抱えて受診される患者さんは少なくありません。ただ、患者さんと似た経験があるとそれはそれで治療者の価値観が入り込みすぎ、逆に的外れなアドバイスをしてしまう可能性もあります。ひとりひとり違う人間である以上、“わかったつもり”にならないことが大切ですね。
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※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
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