メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第39回) 2023年4月18日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
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事例㊴ メールが苦手です。
(相談者 男性 50代 会社員)
【相談メール】
メール相談をしておいておかしな話ですが、昔からメールが苦手です。特に大事な話やお礼を伝える時は、対面で、もしくは電話でやり取りするものだと思っています。ただ、時々「わざわざ電話しなくても、メールでいいのに」と言われます。若い社員に聞くと「正直いまどき電話は迷惑」とのこと。コロナ禍によって対面で会う機会が減りましたが、制限が緩和されてきてもやはりメールでやり取りした方がいいのでしょうか?
【回答メール】
SNSの普及で、コミュニケーションのあり方は変化しています。コロナ禍でそれに拍車がかかりました。若い世代を中心に、電話をしたがらない人が増えているようです。
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ただ、電話自体が嫌いというわけではなく「突然の電話」に抵抗があるようです。必要ならまずメールなどで「いま(もしくは△時頃に)電話してもいいか」と事前に相手の都合を確認します。
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世代によっては違和感があるかもしれませんが、相手の都合を踏まえた立派な「気遣い」といえるでしょう。
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対面や電話でのやり取りは、同じ時間に情報を共有する「同期型コミュニケーション」です。一方、メールやSNSは、それぞれが都合の良い時間に情報を共有する「非同期型コミュニケーション」と呼ばれます。
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「同期型コミュニケーション」はリアルタイムで時間を拘束されるため、多様な働き方や主体性を尊重する現代において、多用することは好まれません。
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もちろん「同期型コミュニケーション」は、緊急の場合や複雑な話をする時に、即座に反応を得られるというメリットもあります。同じ時間を共有することで安心や誠意を感じやすくもなるのです。
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つまり、どちらがいいということではなく「使い分け」が大切です。
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たとえば、感謝の思いを伝えたいのなら、何より尊重すべきは相手です。相手の都合を考え、メールできちんと気持ちが伝わるように努力してみることも必要でしょう。
【対応のポイント】
私自身、機械関係は苦手ですが、それでもメールの良さは実感しています。相手や自分の言葉を何度も見返せるし、時間をかけて考えることもできます。一方で、目の前で時間をかけて考えていれば誠意が伝わるかもしれませんが、メールでは、返信しなければただ「無視されている」と感じさせるだけです。やはり「使い分け」が大切ですね。
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※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
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勤労者こころのメール相談(mental-tel@yokohamah.johas.go.jp)
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