メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第36回) 2022年12月21日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
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事例㊱ 気が早い受験準備で孫と会えず悲しい。
(相談者 男性 60代 製造業)
【相談メール】コロナの感染者数は心配ですが、人の流れが復活し、この年末年始には孫の顔が見られると楽しみにしていました。しかし、「中学受験の準備がある」という理由で帰省しないと言っています。孫はまだ小学3年生で、受験まではまだ時間があります。意地悪されているようで悲しいです。
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【回答メール】
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お孫さんに会いたい、というあなたの気持ちはお察しします。その上で今回の質問を考えてみましょう。
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昔は中学を受験する児童はごく僅かでしたが、近年では5人に1人が受験するまでに一般化しています。地域によっては、半数近くが受験する小学校もあるようです。
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中学受験に向けた勉強は、小学校3~4年生までに始めるのが一般的で、進学塾の多くがそれに則したコースを用意しています。
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出題範囲はとても広く、すべてをカバーできるよう一からしっかり準備するためには、それなりの期間が必要だということです。
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長いように思えるかもしれませんが、子どもの将来を左右する準備と考えれば、納得できるのではないでしょうか。
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こうしてみると、今回の件は決して「意地悪」とは言えないかもしれません。
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あなたにお孫さんへの思いがあるように、親には子どもへの思いがあります。そんな中で「まだ時間がある」などと言ってしまうと、「何もわかっていない」と一蹴されることは目に見えています。
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ここはあなたも、自分なりに中学受験のことを調べて、考えてみてください。
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もちろん、長い受験勉強には息抜きは必要です。孫から「気分転換に遊びに行きたい」と言ってくるかもしれません。
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その時に備えて、今は温かく見守ってあげましょう。
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【対応のポイント】
自分の常識で「どうせこうだろう」と判断していたら実態は全く違ったという話は後を絶ちません。知識不足なことがいけないのではなく、まずは知ろうとすることが重要だと思います。単に知識を授けるのではなく、知ろうとする意欲、歩み寄る大切さ、その気づきのきっかけになるような回答を心がけています。
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※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
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勤労者こころのメール相談(mental-tel@yokohamah.johas.go.jp)
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