メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第35回) 2022年11月21日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
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事例㉟ マスク不要と言われているのに嫌な顔をされます。
(相談者 男性 40代 自営業)
【相談メール】「屋外で安全な距離を保てればマスクは着用しなくていい」と言われているのに、マスクをしないで出歩くと露骨に嫌な顔をする人がいます。もちろんお店に入るときなどはマナーとしてマスクをきちんと着けています。それなのになぜそのような目で見られなくてはいけないのでしょうか?納得ができません。
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【回答メール】
コロナ禍とともに始まったマスク生活。感染症対策の基本として厚生労働省でも強く注意喚起され、公共の場でも推奨されています。あなたの言うように、もはや「マナー」と呼んでいいものです。
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さて、ではマナーや常識とは何なのでしょうか。これを解決するヒントに「社会構成主義」という考え方があります。
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これは、社会に存在するあらゆるものは、人と人とのやり取りの中で作り上げられたものである―というものです。
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言い換えれば、絶対的な決まりがあるわけではなく、みんなが「当たり前」と思うことでそれが常識になる、ということです。
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「マスクをするべき」という常識は、コロナ禍で長期間、人々に「当たり前」だと強く植えつけられています。たくさんの人たちが強く長く「当たり前」だと思っていたことは、そう簡単には変わりません。
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これは科学的根拠とはまた別物です。たとえ国の代表や主要な専門家が言ったとしても、それが実感を伴って広がっていくには時間が必要です。
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新常識を浸透させるためには、率先してマスクをしない生活をすることも必要かもしれません。ただし、特段の理由がないなら、周囲と軋轢を生まないことを優先してしばらくマスク生活を続けてみることも選択肢の1つでしょう。
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どんな選択をしても、それぞれメリット・デメリットがあるものです。それを理解したうえで納得のいく決断をしてください。
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【対応のポイント】
コロナ禍でのマスクに限らず、我々が「常識」だと思っているものは、実は様々な要因で変化する不確かなものです。また、客観的な事実と同じくらい、主観的な感情も大切なものです。正解を示すのではなく、それぞれの方が自分なりに選択・決断できるようにサポートしていくこともメール相談の大きな役割です。
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※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
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