メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第33回) 2022年9月29日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
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事例㉝ コロナ不安で診察をキャンセルしていいものか。
(相談者 女性 60代 自営業)
【相談メール】年齢も年齢なので、年に1度の健康診断の他にも、先々までいろいろな健診の予約を入れています。ただ、最近コロナの感染者が増えてきたことが気がかりで、予約を延期したいと考えています。おかげさまで今のところ大きな健康問題はありませんし、病院の感染対策が万全なのは頭ではわかっていますが、どうしても心配なのです。そんな理由でキャンセルや予約延期をしたら先生たちに失礼だし、今後通いづらくなってしまわないか不安です。
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【回答メール】
定期的に健診を受けて健康管理をしているあなたの姿勢は立派です。
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また、予約をキャンセルすることは相手に失礼ではないか―というあなたの考えもよく理解できます。
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少なくても、きちんとキャンセルの連絡を入れる患者さんに対して、私たち医療者が悪い印象を持つことはありません。安心してください。
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一方で、予約を入れながら連絡もなしに来ないという患者さんもいます。ただ、私個人としては、そのような時でもあまりネガティブな気持ちを抱くことはありません。
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“便りの無いのは良い便り”という言葉があります。患者さんが受診の日をすっかり忘れるくらい元気に過ごしているなら、それはそれで良い場合もあるのです。
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もちろんそのようなケースばかりではなく、専門的な立場から、治療や通院を強く勧めることはあります。すべては患者さんとの合意あってのものですから、治療方針はよく話し合って決めていきます。
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また、コロナワクチンのように、準備していた貴重な薬品が廃棄処分になってしまったり、そのぶん他の患者さんの予約が入れられなくなるというリスクもあり、確かに少し困ることはあります。事前に連絡をいただけるに越したことはありません。
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今回は事前に予約延期の連絡をされるとのことなので、とりあえずは問題ないでしょう。
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定期的に健康管理をしていて、差しあたって健康上の問題がないのならば、受診期間を少し空けても大きな心配はないはずです。
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「外出しやすいタイミングを待つこと」も健康管理の1つの選択肢だと考えてみてはいかがでしょうか。
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【対応のポイント】
コロナ不安によってキャンセルや延期を申し出る患者さんは少なくありません。もちろん思うように治療が進まないこともありますが、むしろ通院の間隔が開いても症状が変わらない(悪くならない)ことで、回復を実感できたり自信につながったという例もあります。物事の悪い面だけでなく、良い面に注目することが大切だと、図らずも再確認できました。
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※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
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勤労者こころのメール相談(mental-tel@yokohamah.johas.go.jp)
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