メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第31回) 2022年6月24日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
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事例㉛ テレワークに慣れてしまい初対面の人との交流に抵抗があります。
(相談者 女性 30代 事務職)
【相談メール】
コロナが落ち着いてきたからか、得意先との会合や、同僚の結婚式への出席などが少しずつ増えてきました。もともと人見知りで初対面の人との交流は苦手だったのですが、テレワークに慣れてしまったせいで、面と向かって会うことに抵抗感が強くなっています。なるべくそうしたところには行かないできたのですが、そろそろ避けるのも限界です。どうすればよいでしょうか。
【回答メール】
お悩みのご様子、伝わってきます。長年連れ添った夫婦や血のつながった親子でも、付き合い方に悩むことはあります。赤の他人、ましてや初対面の人と話すということは、非常に難しく、そして勇気のいることです。 -
プライベートの付き合いであれば、ある程度距離を取ることもできるでしょう。しかし仕事が絡んでくるとそうもいきません。
では、初対面の人との交流が苦手な人が多いのはなぜでしょうか。それは育った時代、性格、価値観などがわからず、目に見える共通点が少ないからです。 -
反対に言えば、お互いの共通点を見つけ出せれば、良好な関係が築けるようになります。共通の趣味があることがわかると突然親しみやすくなるーと言われると想像しやすいでしょう。 -
仕事関係の付き合いであれば、仕事という共通点は確約されています。それを出発点にすれば、ゼロからの関係作りではないのです。 -
コツは、適度に大雑把に捉えることです。たとえば「スポーツ観戦が好き」であっても、それが何のスポーツなのか、ひいきのチームはどこか、と突き詰めていくと“相違点”になってしまいます。 -
「ひいきのチームが違っても、スポーツ好きという仲間ではある」と大雑把な“共通点”として大きく捉えて付き合うことが大切です。
【対応のポイント】
コロナ禍で人間関係が楽になったという方は、実は少なくありません。逆に言えば、コロナが落ち着いていくことは、その方々にとってはストレスにもなり得ます。アフターコロナという新たな環境変化に困る方々を支えるのも、このメール相談の1つの役割でしょう。
※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。 -
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勤労者こころのメール相談(mental-tel@yokohamah.johas.go.jp)
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