メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第27回) 2022年1月26日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
-
事例㉗ 医師の対応が冷たくて傷ついた。
(相談者 女性 50代 主婦)
【相談メール】
コロナ陽性となり入院していたのですが、そこの先生の説明が専門用語や難しい言い回しだらけで理解できませんでした。仕方ないので「やさしく説明してください」と言うと機嫌が悪くなり、「話が理解できる家族はいませんか」と言われてしまいました。私が悪いのでしょうか。それともどこかに抗議するべきでしょうか。経過観察で通院が必要なので憂鬱です。
【回答メール】
お困りのご様子、伝わってきます。
-
「相手の立場に立って話す」とよく言いますが、とても難しいことです。
-
かの有名なアインシュタインは「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」という言葉を残しています。
-
その人の「常識」は、国や文化、時代など、生まれ育った環境によって大きく違います。自分が常識だと思っていることも、相手にとってはそうではないかもしれない―ということになります。
-
その医師も自分の常識で判断し、患者さんの立場に立った説明ができなかったのでしょう。
-
本来は医師側が、患者さんに安心してもらえてわかりやすい説明を心がけるべきです。しかもあなたは「やさしく説明してください」と適切に主張したのです。自分を責める必要はありません。
-
精神医学の言葉に「他人と過去は変えられないが、今とこれからの自分(の考えと行動)は変わりうる」というものがあります。同じ医師として申し訳ない気持ちはありますが、その医師は変わらないと割り切って通院することも必要かもしれません。
-
病院には患者さん用の相談窓口や投書箱があるはずですし、看護師や他の職種に相談することもできます。必要があれば相談しながら、ひと段落するまでその病院で診てもらいましょう。
-
ただし今後、後遺症など腰を据えて長期間治療をする必要が出てきたら、改めて医師との相性を考え、転院などを検討してみてください。
【対応のポイント】
明らかに相手に落ち度がある場合、相談窓口の活用など現実的な対応も必要でしょう。しかしそれで相手が変わるかどうかはわかりません。相手が変わらない場合は自分なりにどうしていくかという視点はそれ以上に重要です。
- ※実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
-
勤労者こころのメール相談(mental-tel@yokohamah.johas.go.jp)
-
-
勤労者メンタルヘルスセンター山本晴義センター長(心療内科医)が自らお答えするメール相談です。年中無休の24時間、無料でお受けしており、原則24時間以内にご返信いたします。
■各記事
・新型コロナウイルスでうつ病に?病院に行くべき症状は?
https://fdoc.jp/byouki-scope/features/covd-19_depression/
・新型コロナウイルスで強迫性障害に?消毒などのしすぎは要注意
https://fdoc.jp/byouki-scope/features/covd-19_obsessive-compulsive-disorder/
-
お知らせ 面会中止について
-
お知らせ 令和6年度 年末年始休診のお知らせ
-
イベント おしゃべりサロン開催のおしらせ