メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第26回) 2021年12月28日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
事例㉖ 在宅勤務に慣れすぎて通勤に耐えられない。
(相談者 男性 60代 管理職)
【相談メール】
コロナが少しずつ落ち着いてきて、在宅勤務ではなく出社をする回数が増えてきました。まだ数回ですが、通勤で電車に乗るのがこんなに大変だったのかという思いです。これが完全に元の出勤形態に戻ったらと思うと、体力的にも精神的にも耐えられる自信がありません。
【回答メール】
慣れ親しんだ日常からの変化は、どんなことでもストレスになり得ます。
以前の出勤形態から在宅勤務に変化した時も、それなりにストレスを感じていたことでしょう。
慣れてきた頃にまた変化が起こるわけですから、ストレスを感じるのは自然なこと。そうした変化についていけず、心身に不調をきたす人は少なくありません。
ただ、あなたはこれまで、そんな変化に適応してきました。出勤を続けるうちにまたその環境に慣れる力を持っているのです。
60代は現代社会ではまだまだ若い部類ですが、体力の低下など年相応の老化現象は見られます。しかも一旦落ちた体力は、昔ほど簡単には回復しません。
年齢を重ねると体力は落ちますが、人間としての深みは増し、内面は成熟していきます。たとえ体力が衰えても、今まで培ってきた経験は、若い人にはないあなたの魅力です。
そんなあなたなら、もし体力的な理由で毎日の出勤が難しくなっても、会社の方から「リモートで仕事を続けてほしい」と言われることでしょう。
無理して若々しくいようとしたり、老いを感じて落ち込むことはありません。今の自分に合った生活を心がけてください。
【対応のポイント】
コロナ禍の環境変化は大きなストレスですが、元の生活に戻ろうとする動きも「変化」であり、紛れもないストレス要因です。適応していくことがある程度求められるのは事実ですが、今の自分を受け入れ、今の自分に合わせた考え方をすることが大切です。
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- ※実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
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