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医療コラム

メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第25回) 2021年11月11日

勤労者メンタルヘルスセンター長  山本晴義

事例㉕ 娘の離婚で孫に会えなくなるかもしれません。
(相談者 女性 60代 パート)

【相談メール】
娘が「離婚する」と言ってきました。夫がリモートワークになり、色々とずれが生じたとのこと。いわゆるコロナ離婚というやつです。娘のことはいいとしても、幼い孫のことを思うと関係を修復できないものかと思います。また、私たちがかわいい孫と会えなくなるようなことになるのはつらいのです。どうすればいいのでしょう。

【回答メール】 
離婚は最終的には親が決めること。子どもはそれに従う以外に術(すべ)がありません。あなたの心配はもっともです。

「アドラー心理学」で話題になった、オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーは、このような悩みについて「課題の分離」という考え方を勧めています。

これは、困り事を「自分の課題」と「相手の課題」に分けて考える―という方法で、「最終的に誰が責任を取るか」が基準となります。

離婚は当人同士が責任を負うことです。子育てについても、成人までは親が責任を負います。基本的には娘夫婦に委ねるしかないのです。

ただ、あなたと孫の関係として見ると、こちらの課題でもあります。この点は、あなたや孫も入れた「共通の課題」として話し合う必要があるでしょう。

離婚するか否かは夫婦の課題であり自由にしていいが、祖母と孫の関係はそれとは別の話―と課題を分けて話し合うのです。

娘夫婦の離婚があなたと孫との関係に大きな影響を及ぼすことは間違いないでしょう。であるならば、あなたの意見は尊重されるべきです。離婚してもあなた方は孫には会えることが保証される―などの形が考えられます。

ただし、「離婚するな」「孫に会わせろ」と一方的に主張してはいけません。「誰の課題なのか」を話し合いの入口として、お互いを尊重して話し合うことが大切です。

【対応のポイント】
結婚や子育ては、当人同士の問題としておさまらず、色々な人たちの思いが交錯しやすいのが現実です。「課題の分離」は一見すると「あなたの課題だから」と冷たく突き放すようなやり方に映りますが、そうではありません。話し合いの入り口とすることで、関係者全員を尊重したやり取りになるというのがポイントです。

※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。


勤労者こころのメール相談(mental-tel@yokohamah.johas.go.jp

勤労者メンタルヘルスセンター山本晴義センター長(心療内科医)が自らお答えするメール相談です。年中無休の24時間、無料でお受けしており、24時間以内にご返信いたします。

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