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医療コラム

メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第24回) 2021年10月20日

勤労者メンタルヘルスセンター長  山本晴義

事例㉔ 妻がコロナうつかもしれません。
(相談者 男性 50代 自営業)

【相談メール】
以前は妻と毎年1回は海外旅行を楽しんでいました。しかしコロナ禍で巣ごもり生活が長引く中、妻の元気がなくなっています。「コロナが落ち着いたらまたどこかに行こう」と誘っても「面倒だから…」と消極的です。これはいわゆるコロナうつなのでしょうか?

【回答メール】 
まず、最近よくマスコミでも目にする「コロナうつ」という言葉ですが、正式な医学用語ではないので、病気とは別物として考えましょう。

ただ、コロナ禍によるストレスの影響は少なくないと思います。感染への不安自体も大きなストレスですが、それによって起きる「生活の変化」からくるストレスは相当なものです。

自分にとって大切な対象を失う体験を「喪失体験」と言います。巣ごもり生活によってリズムが乱れ、人との交流も希薄になりがちです。旅行などの気分転換も難しくなり、まさしく“今までの生活”を喪失した状態だと考えられます。

そんな中で「旅行」という未来を想像しようとしても、心がついて来ないのも無理はありません。

今日からでもできることとして、毎日が充実した時間になるよう工夫し、奥様と一緒に過ごすことをおすすめします。

まずは規則正しい生活リズムを心がけましょう。電話やオンラインなど安全に交流できるツールの利用で外部とのコミュニケーションを取りながら、近所の散歩や家でできる簡単な体操などで体力維持を心がけて下さい。

ただし、不眠や食欲低下など、生活に支障が出るほどの不調をきたしている場合はメンタルの専門医を受診し、適切な治療を受けてください。

【対応のポイント】
「コロナうつ」という言葉が広まることで「コロナうつではないか」と不安になる方が増えています。ある意味「コロナうつ」という言葉自体がウイルスのように伝染し、必要以上に人々を不安にさせているように思えます。ならば、充実した毎日を過ごし、明るいコミュニケーションが増えることによって、状況が改善していくこともあるでしょう。

※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。


勤労者こころのメール相談(mental-tel@yokohamah.johas.go.jp

勤労者メンタルヘルスセンター山本晴義センター長(心療内科医)が自らお答えするメール相談です。年中無休の24時間、無料でお受けしており、24時間以内にご返信いたします。

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