メール相談から学ぶコロナ感染拡大時におけるメンタルヘルス(第20回)2021年6月7日
勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義
事例⑳ 誰にも頼らない強い精神力を持つには?
(相談者 男性 40代 管理職)
【相談メール】
職場の色々な人から相談を受けます。最近はコロナ禍ということで、仕事のこと以外にも、人間関係のことや健康のことなど、より様々なことを相談されるようになりました。頼られることは嬉しいのですが、私がストレスを感じたときに気軽に相談できる人はいません。山本先生も色々な相談を受けていると思いますが、誰にも相談せずに乗り切る精神力を持つにはどうすればいいのでしょう?
【回答メール】
色々な人から相談を受けるのは、あなたが話しやすく信頼されている証拠です。周囲の人たちにとって、なくてはならない存在なのですね。
ただし、相談対象は、悩み事やTPOによって異なるものです。たとえば、お金のことなら銀行に、犯罪絡みなら警察に、法律に関係する面倒なことなら弁護士に―というように。
このメール相談は、ストレスに関する悩み事であれば「ストレス対処法」や考え方についてのアドバイスをしています。しかし悩み事によっては「それは警察や弁護士に力になってもらってくださいね」と伝えて相談が終わることもあります。特定のところに紹介して間に入るということもありません。
あなたの場合も同じことです。適材適所という言葉があるように、すべてを抱え込む必要はないのです。
ただ、相談相手を持つこと自体は、メンタルヘルスで大切なことです。私自身も人間ですから悩みを持つことはあるし、そんな時は誰かに相談します。仕事のことなら職場の仲間、健康問題や人間関係ならば、まず妻が相談相手です。
私は「ストレス一日決算主義」をテーマに、その日のストレスはその日のうちに解消するように心がけています。そんな時、相談に乗ってくれたり愚痴を聞いてくれる家族や仲間がいてとても助かっています。
話を聞く側にも相当なエネルギーが必要なので、まずは自分自身がストレスを溜めないことです。それには一人で乗り切るのではなく、相談できる相手を見つけることが大切です。
【対応のポイント】
管理職に関わらず「誰にも相談せず一人で乗り切る人」を美徳とする風潮は、残念ですが未だあるようです。私自身、日々の診療やメール相談をこなしていると、そのような人だと思われることも少なくありません。ただ、以前の相談にもあったように、“サポーター”の役割は非常に大切ですし、「適切なタイミングで適切に頼れる」ことは立派な「ストレス対処」なのです。
※ 実際に送られてきた相談メールを参考に、相談者のプライバシーを考慮して作成しています。
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