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超音波内視鏡(EUS)を主軸とした胆膵疾患の早期診断・治療に力をいれています

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横浜労災病院 消化器内科の関野 雄典(せきの ゆうすけ)と申します。
横浜労災病院消化器内科は消化管領域においては早期消化管悪性腫瘍の内視鏡治療を、胆膵領域においては特に膵臓がんや胆道がんの早期診断と治療を最大の目標として日々の診療を行っております。今回は当科の胆膵部門についてご紹介いたします。

 

関野 雄典

関野 雄典
消化器内科部長

 

当院の消化器内科について

当科の胆膵疾患に対する内視鏡検査数は、2019年度では内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)が715件、超音波内視鏡検査が876件と神奈川県内、東京都内でもトップクラスの症例数を扱っています。
他院での治療困難例や緊急を要する症例なども積極的に受け入れて治療に当たっており、一部のハイボリュームセンターで導入されている超音波内視鏡下治療も早期から取り入れ、退院後QOLの維持に努めた治療を目指しています。
また、膵臓がん早期発見に関する病診連携にも取り組んでいます。

当科初診に当たっては、紹介状持参による予約センターを通した初診予約を通常の初診外来窓口としています。登録医療機関の先生方に対しては専用窓口を用意しておりますのでご利用ください。
胆膵疾患においては特に至急の診断・治療を要する症例も多いため、緊急での受診が望ましい場合には地域医療連携室を通して、あるいは当科医師に直接ご依頼頂く形で対応しております。

<予約申込票>
下記の当院ホームページURLより印刷し、使用してください。
https://www.yokohamah.johas.go.jp/community_medicine/introduce/

 

膵臓がんについて

2018年に国立がん研究センターより発表された各種がんの3年生存率において、膵臓がんは全体で16.9%と最も予後不良であると報告されています。
その中身を見ていきますと、病期Ⅲ、Ⅳ期の方は非常に厳しい生存率であることが分かります。一方で、病期Ⅰ期の方は6割以上の3年生存率が報告されており、特に早期診断が重要な領域と言えます。

 

当科での膵臓がん診療の実績について

当院における膵臓がん診断時病期の推移です。
一般的に手術可能症例である病期0期,Ⅰ期,Ⅱ期の割合は20%未満(日本肝胆膵外科学会http://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=14)とされていますが、ここ数年では診断の時点で非切除という方の割合は減少しつつあります。既報と比較して、当科での膵臓がん早期診断の成績は向上していることが分かります。

 

超音波内視鏡(EUS)診療について

膵臓がんを始めとした胆膵疾患の診断にはCT、MRCP、腹部超音波検査などが用いられてきましたが、早期診断の成績を向上させるには不十分でした。
最新の膵癌診療ガイドラインでは、EUSの有用性について言及されています。EUSはCTなどの他の画像診断と比較すると有意に高感度に小病変の描出が可能であり、膵臓がんの存在診断の感度は97.7%と報告されています。一方で、検査の特性として術者の経験に大きく依存することが問題とされています。
そこで当科では、今日の膵臓がんの早期診断に必須とも言えるEUS診療の強化を目指し、2015年度よりEUSでの胆膵疾患スクリーニング検査を導入し、その検査数の増加と診断能の向上を達成してきました。

実際の症例をご紹介いたします。

小膵癌診断の例】

・膵体部腫瘍 11.5×9.7mm
・膵管径不整なくMRCPで同定困難
・EUS-FNA(下図△)により腺癌の診断

最終診断:p-stage IA

膵神経内分泌腫瘍の例】

・膵頭部腫瘍 7.1×7.0mm
・MRCP、CTで同定困難
・EUS-FNA(下図△)により膵神経内分泌腫瘍(PNET)G1の診断

この様に、他検査では同定困難な病変の拾い上げと組織診断が可能であるケースも多く、EUS診療の重要性が分かります。
また、EUSを用いた穿刺技術を応用し、一部のハイボリュームセンターで行っている超音波内視鏡下ドレナージも導入しており、他院で治療困難な胆膵疾患の内視鏡治療も積極的に受け入れて治療に当たっています。

 

横浜労災病院早期膵臓がんプロジェクト(地域の先生方との病診連携)について

この記事をご覧いただいている先生方の担当患者さんの中で、下記に該当する方がいらっしゃいましたら、是非当科にご紹介ください。

・内視鏡検査や腹部超音波検査で原因のはっきりしない上腹部症状
・新規診断の糖尿病、あるいは急な増悪を認める方
・血液検査での膵酵素異常、CA19-9高値
・腹部超音波やCT、MRIでの膵異常影
・慢性膵炎症例
・第一度近親者に膵癌患者がいらっしゃる方

当科でEUSを主軸とした膵評価を行い、紹介いただいた先生方と共同しての経過観察法を提案させていただきます。

<横浜労災病院 膵臓がん早期診断プロジェクト>
https://www.yokohamah.johas.go.jp/column/2019/03/post-63.html

通常の紹介枠の他に、「膵紹介」枠を設けており、冒頭にお示した予約センターでお受けしております。
■予約センター連絡先
電話:045-474-8882(平日 8:15~17:00)
FAX:045-474-8523(医療機関からのみ)

■緊急で受診が必要な場合
地域連携室:045-474-8345に連絡を頂き、消化器内科の早急な受診についてご相談ください。

 

最後に

胆膵領域の疾患は良悪性に関わらず、診断から治療までの時間的猶予がない患者さんが多いです。
また、膵臓がんの治療成績の向上には早期発見、早期診断が不可欠です。先生方の患者さんの拾い上げから円滑な連携を通して、胆膵領域の患者さんの治療成績の向上、退院後QOLの維持に努めた診療を心がけております。
お困りの患者さんや、診療内容や検査適応などについてもご不明な点などありましたらお気軽にご相談ください。

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