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地域密着型の循環器センターを目指して ~すべての循環器疾患に迅速に対応します~

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はじめまして、横浜労災病院 循環器センター長の柚本 和彦(ゆもと かずひこ)です。
開院当初は5名からスタートした循環器内科も現在は16名の大所帯になりました。循環器疾患の治療には高度専門化された手技・医療機器が必要となるため、循環器センターでは心臓血管外科を含め各領域にエキスパートの責任者を配置し高度な先進医療を提供しています。急増している高齢の心不全患者は虚血、不整脈、弁膜症、高血圧など複数の循環器疾患が併存していることが多いため、各部門の連携を強固にして、退院後の心臓リハビリまで含めすべての循環器疾患を包括的にカバーすることを心がけています。
本日は、一部ではございますが、当院の循環器センターでの治療をご紹介いたします。

 

柚本 和彦

柚本 和彦
循環器センター長
循環器内科部長

 

1)虚血性心疾患:非侵襲的な狭心症の診断FFRCT解析検査

労作性狭心症の診断治療が変わってきました。狭心症の患者さんは心カテを行い冠動脈に狭窄を認めるとステント治療を行うことが定石でしたが、最新のガイドラインでは冠動脈狭窄に対してステント治療が必要か見直されるようになってきました。冠動脈CTで評価後に更に心カテや負荷心筋シンチなどを行い心筋虚血の証明を行なっていましたが、この度導入されたFFRCT検査は冠動脈CTの画像データをもとにコンピューター解析を行い、従来は心カテでしか検査できなかった冠血流の定量的な評価を非侵襲的に外来で測定が可能になりました。FFRCT検査は施設基準が設けられており、実施施設が限定されています。

 

(図1)FFRCT値が0.75以下の場合は治療適応の狭窄病変と判断します。

 

 

2)不整脈診断:心原性失神の重要性(埋め込み型心電図記録計)

失神というと脳血管疾患のイメージが強いですが、実は心原性および神経調節性失神が大半を占めます。不整脈を原因とする心原性失神は24時間ホルター心電図では異常が同定できないことが多く診断に苦慮します。皮下に埋め込む超小型の心電図記録計が導入され心原性失神や発作性心房細動の診断能が向上しました。留置には局所麻酔で1㎝程度の皮膚切開をするのみですので、外来で埋め込み可能です。埋め込み後は常時不整脈が記録され異常が発生すると当院にアラートが来る仕組みです。実際、数ヵ月に1回原因不明の失神をおこしていた患者さんが埋め込み心電計で7秒間の洞停止が同定されペースメーカー埋め込み術を行い失神は消失しました。リモートによる長期間の不整脈モニタリングを行うことで正確な診断が可能となりました。

 

(図2)埋め込み型心電計

 

 
 

3)不整脈治療:3Dマッピングシステムでより安全なカテーテルアブレーション

現在、ほぼすべての頻脈性不整脈に対してカテーテルアブレーションが可能となっています。アブレーション治療の際に3D(3次元)マッピングシステムを利用することにより、不整脈の電気の流れを可視化しカテーテルの位置情報を正確に把握することができます。それにより正確な焼灼部位、効果が確認され、合併症が著しく減少し治療成績も安定しました。また近年増加している心房細動のカテーテルアブレーションも積極的に施行しており、発作性心房細動にはクライオ(冷凍)バルーンを用いて手技時間を短縮しています。高齢者の心房細動患者さんが増加しています。抗凝固療法やカテーテルアブレーションの適応など悩ましい点が多いですが、患者さん個々に最善の治療法を選択しますので、ご遠慮なくご相談ください。

 

 

 

 

地域の先生方へのメッセージ

ここまでご覧いただきまして、誠にありがとうございます。最新の治療を行いながらも、患者さんに貢献できるように、地域密着型の循環器センターとして、引き続き地域医療に貢献したいと考えております。現在も猛威を振るっている新型コロナウイルスに関しましても、当院はコロナ診療の中核病院のため、一時的に循環器救急病棟は重症コロナ肺炎患者専用病棟となりましたが、現在は院内PCR検査の迅速化や個室重症病床の増床で従来の診療体制を維持しています。ぜひご安心してご紹介をいただければと考えております。

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