乳腺外科

診療概要

 現在、我が国では年間7万5千人以上が新たに乳癌と診断されており、女性のがん罹患数では第1位となっています。乳癌の罹患率は40歳後半から50歳代に高く、職場でも家庭でも中心的な役割を担う世代で発症するのが特徴です。今までの乳癌診療は、外科的切除が治療の中心であったため、「一般外科」の一部門として治療が行われてきました。しかし、乳癌治療の進歩は目覚ましく、近年はがん病巣の切除だけにとどまらず、化学療法、ホルモン療法、分子標的療法、放射線療法による集学的治療(複数の治療法を組み合わせて行う治療)が行われるようになり、乳腺外科は「がん治療に関する総合診療科」の色合いが強くなっています。地域がん診療連携拠点病院である横浜労災病院では、全国の乳癌診療施設に先駆けた多くの試みを積極的に行なっています。「リンパ浮腫療法士によるリンパ浮腫外来の開設」、「乳がん看護認定看護師によるがん看護外来の開始」、「神奈川県との協働事業による乳がん体験者(ピアサポート)相談室の設置」など、患者さんが安心して乳がん治療を受けられるように、「チームによる全人的な乳がん診療」を目標に診療しています。

診療内容

 乳腺外科では、乳癌などの悪性疾患だけではなく、乳腺炎や乳腺症など乳腺疾患全般の診断と治療を行っています。横浜労災病院における乳癌診療の特徴は、乳腺専門医(乳腺外科)、がん薬物療法専門医(腫瘍内科)、放射線治療専門医(放射線治療科)が連携して「専門家集団による乳癌治療」が行なわれていることです。また、手術治療では乳房再建術にも力を入れており、人工乳房(シリコンインプラント)再建だけではなく、形成外科専門医による顕微鏡下血管吻合を駆使した自家組織(腹部脂肪皮弁)再建も積極的に行なっています。このように、我々は「がんを治すこと」だけではなく「がんが治った後の生活」までを視野に入れて、一歩進んだ乳癌治療をめざしています。
 2014年の乳癌手術症例数は216例となり、この数字は横浜市内でTop 3に入る症例数です。さらに乳癌根治手術以外の良性腫瘍、炎症疾患、一次・二次再建などの手術を加えると全手術数は299件となり、開設から3年間で県下有数の乳腺センターに成長しました。外来診療でも2014年の新規紹介患者数は830例で、横浜市内はもちろんのこと県内各所、県外にある乳癌診療施設からも多くの症例をご紹介いただいています。

対象疾患

  1. 悪性疾患:乳癌(男性乳癌も含む)、間質肉腫、血管肉腫などの乳腺悪性腫瘍
  2. 良性疾患:線維腺腫、葉状腫瘍などの乳腺良性腫瘍、乳腺炎、乳輪下膿瘍、乳腺症、乳頭異常分泌、ホルモン異常による乳房痛、女性化乳房症、腋窩リンパ節腫大
  3. 乳癌検診異常(精密検査):腫瘤病変、石灰化病変に対する吸引組織診断

患者サポート

 乳腺外科の診療で常に心がけているのは「患者の視点に立って考える」診療です。医師は手術や薬物治療を中心に診察するため、副作用管理、精神的ケア、経済的問題、家族支援などの対応が十分でない場合があります。一方で、患者・家族の希望は「普段通りの生活を守りながら治療を受ける」ことであり、仕事、家事などの日常生活が保障されない限り、十分な治療を受けることが出来ません。つまり、「良い治療」があっても、「受ける側の準備」が出来ていなければ、乳癌治療は滞ってしまいます。そのため、乳癌治療の継続には「多職種による患者支援=チーム医療」が大切な役割を担うと考えています。当院には、治療法を選択する上での悩み、手術前後での生活、薬の副作用対策などの相談役となるがん看護専門看護師 兼 乳がん看護認定看護師が常勤しており、入院・外来診療に関わらずいつでもサポート出来る体制が整っています。その他、精神的・社会的な悩みには臨床心理士、医療ソーシャルワーカーによるカウンセリングが行われており、家庭や仕事場での悩みには乳がん体験者コーディネーターによる「ピンクリボン相談室」が設けられています。当院では専門資格を持った医療者から乳がん体験者仲間まで、あらゆる相談窓口が整っているので安心して乳癌治療を受けていただくことが出来ます。
 横浜労災病院乳腺外科は「病を診る治療だけではなく人を看る診療」を基本方針として、「患者中心の医療」をめざした診療を心がけています。

診療スタッフ

氏名 専門分野 学会評議員・専門医・認定医等
部長 千島 隆司
(医学博士)
横浜市立大学大学院
客員准教授
横浜市立大学
医学部非常勤講師
乳腺疾患一般
(手術、化学療法、内分泌療法)、乳がん検診
日本乳癌学会評議員
日本乳癌検診学会評議員
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会評議員
日本乳癌学会指導医
日本乳癌学会専門医
日本外科学会指導医
日本外科学会外科専門医
日本消化器外科学会指導医
日本消化器外科学会医認定登録医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
日本オンコプラスティックサージャリー学会乳房再建責任登録医
日本乳がん検診精度管理中央機構 検診マンモグラフィ読影A(S)認定医(講習会講師)
厚生労働省医政局臨床研修指導医
Active Member of AACR (American Association for Cancer Research):米国癌学会正会員
Active Member of ASCO (American Society of Clinical Oncology):米国臨床腫瘍学会正会員
副部長 竹内 英樹
(医学博士)
埼玉医科大学医学部
非常勤講師
乳腺疾患一般
(手術、化学療法、内分泌療法)
乳がん検診
日本乳癌学会指導医
日本乳癌学会専門医
日本外科学会指導医
日本外科学会外科専門医
日本乳がん検診精度管理中央委員会マンモグラフィ読影認定医
厚生労働省医政局臨床研修指導医
氏名 専門 学会評議員・専門医・認定医等
医師 門倉 俊明 乳腺疾患一般
(手術、化学療法、内分泌療法)
乳癌検診
日本外科学会外科専門医
日本乳癌学会会員
日本乳がん検診精度管理中央委員会マンモグラフィ読影認定医
厚生労働省医政局臨床研修指導医
木村 安希 乳腺疾患一般
(手術、化学療法、内分泌療法)
乳がん検診
日本外科学会員
日本乳癌学会会員
医師
(非常勤)
和田 朋子
(医学博士)
乳腺疾患一般
(手術、化学療法、内分泌療法)
乳がん検診
日本外科学会外科専門医
日本乳癌学会会員
日本乳がん検診精度管理中央委員会マンモグラフィ読影認定医
足立 祥子 乳腺疾患一般
(手術、化学療法、内分泌療法)
乳がん検診
日本外科学会外科専門医
日本乳癌学会認定医
日本乳がん検診精度管理中央委員会マンモグラフィ読影認定医
専門看護師 大椛 裕美 がん看護一般
(メンタルケア、就労支援)
乳がん看護
(周術期看護、薬物療法副作用対策)
日本看護協会認定 がん看護専門看護師
日本看護協会認定 乳がん看護認定看護師
日本乳癌学会会員
相談員 八木 智子
(ピンクリボン相談室)
  NPO法人キャンサーネットジャパン認定 乳がん体験者コーディネーター

外来診療日

外来診療

受付時間 8:15~11:00(予約の方は、予約時間に合わせて受付いたします)
※「予約」は事前予約または紹介状が必要です。
※初めて受診される方は、初診診療状況一覧表をご覧ください。

(注1) ★印:部長 ☆印:副部長 ♢印:女性医師
(注2)手術・緊急呼び出し等により予告なく担当医が変更する場合があります。ご了承ください。
(注3)女性医師を希望の方は事前にお申し出ください。

学会認定修練施設

日本乳癌学会認定施設

診療実績(2014年)

年間手術件数

活動実績

BTJジャーナル掲載「アカデミア・トピックス ノーベル賞のとなり 千島隆司 医学博士」

エフエム戸塚83.7MHzで放送のトーク番組『DREAM TALK』に当院 千島隆司 医学博士が出演しました。

地域連携のお願い

 患者支援としてもうひとつ大切なのが地域医療連携です。放射線療法、化学療法を含めたほとんどの治療は外来通院で行います。そのため、患者・家族が「普段通りの生活を守りながら治療を受ける」ためには、一般開業医の先生方による支援が不可欠です。生活習慣病など併存疾患の管理、内科・婦人科検診、在宅診療、訪問看護、福祉介護などの支援チームがなければ、本当の意味での「患者中心の医療」は実現しないと考えています。地域医療支援病院でもある当院の役割は、地域の医療スタッフと知識や情報を共有することだと思います。乳腺外科では地域の医師、看護師、薬剤師を含めたオープンカンファレンスを行いながら交流を深めていきたいと考えています。
 また、初期治療を終了した乳癌や乳腺症をはじめとした良性疾患に関しては、地域で信頼出来る専門クリニックと連携を取りながら、より生活圏に密着した通院しやすい環境で治療・検査を受けることも可能です。詳しくは乳腺外科医師、看護師までお問い合わせください。

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