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輸血部

診療概要

輸血療法は国策に基づいて実施される、献血で得られた血液を原料とする治療法であり、資源材料となる血液が有限で、善意による寄付であることから、適正な使用が求められています。また、輸血療法は最も簡便な臓器移植であり、完全に安全ではない、本質的な危険性を排除できない治療法でもあるため、最低限の使用と共に安全性の確保が求められています。

採血基準の厳格化、問診の細項目化、免疫学的検査や遺伝子増幅検査による血液の感染スクリーニング、初流血除去、血液製剤中に混在する白血球の保存前除去、放射線照射による白血球不活化、一定の保存期間後の製剤出荷、遡及調査の実施等により、近年、血液製剤の安全性は格段に向上しました。
しかしながら、以前より指摘されているウインドウ期の感染症伝播やパルボウイルス、EBウイルス、ヘルペスウイルス感染の問題だけではなく、プリオンや西ナイルウイルス、SARSを起こすコロナウイルス等の血液を介して感染する恐れのある新たな病原体が発見されたり、インフルエンザ感染者の献血により作成された血液製剤が回収されるという事例がありました。2013年には輸血によるHIVおよびHCV感染例が報告されるとともに、日本で初めて献血血液よりシャーガス病感染血が発見されました。2014年夏には蚊によって媒介されるデング熱が日本でも稀ではなく発生していることが確認されました。2015年には免疫抑制患者での輸血によるHEV慢性感染が話題となり、さらに2016年初頭には、ブラジルで、妊婦のジカ熱感染により胎児や新生児の小頭症発症リスクが高まっていること、このウイルスが蚊によって媒介されること、輸血による感染症例があることが報告されました。近年では、輸血によるHEV感染の増加が指摘されています。
血液製剤の安全確保のための方策は常に改良が加えられており、2014年8月1日からは、プール血清ではなく献血血液全例での個別核酸増幅検査が実施されています。
血液中には感染性を有する未知のものが、まだまだ含まれていると推測されます。輸血療法では、感染症以外にも免疫反応に基づく副作用や合併症が生じる危険性があり、まれに致命的な転帰をとることもあります。

当院が開院以来1件として重大な輸血事故がないことは、患者さんを含め輸血に携わるもの全ての努力の賜物ですが、製剤の取り違えによる輸血事故が新聞等で報道されることもまれではなく、輸血療法、血液製剤が本来的に有する危険性を改めて認識し、より安全な輸血療法を推進することが必要です。少子高齢化や人口の減少、変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)に関連した献血基準の見直しなどによる献血者数の減少による献血量の減少に対応し、血液製剤の国内自給を達成するために、より一層の適正使用の推進が求められています。2020年にはSARS-CoV-2によるパンデミックが発生し、献血血液不足が話題となりました。輸血をめぐる状況についての詳細は、厚生労働省による血液事業報告や日本赤十字社による輸血情報、Haemovigilance by JRCをご覧頂ければと思います。

当院では厚生労働省の「血液製剤の使用指針」および「輸血療法の実施に関する指針」を遵守し、輸血に関する業務を輸血部で一元的に管理すると共に、定期的に輸血療法委員会を開催して安全かつ適正な輸血療法の施行のために努力しております。

当院は2006年4月より輸血管理料Ⅱを算定していましたが、輸血部でのアルブミン製剤一元管理を行い、2018年10月より輸血管理料Ⅰを算定しています。また2018年2月には日本輸血・細胞治療学会に輸血機能評価認定制度(I&A制度)および日本適合性認定協会によるISO15189(臨床検査室の認定:品質と能力に関する特定要求事項)の認証を受けています。

診療内容

輸血関連検査業務

輸血に必要な検査の実施(血液型検査、交差適合試験、不規則抗体のスクリーニングや同定など)と報告、適合血選択のコンサルテーション

輸血製剤の管理

血液センターへの血液製剤の発注、血液製剤の管理および払い出し、輸血製剤による副作用報告の収集と分析、血液製剤使用実績の統計作成、日本赤十字社による遡及調査等への協力

採血業務

自己血輸血のための貯血業務と貯血自己血の管理、末梢血造血幹細胞採取の介助と採取幹細胞液の管理、瀉血の介助

診療体制

平澤晃副院長(輸血・細胞治療学会認定医)、中央検査部・中村和之部長の協力の下、佐藤忠嗣輸血部長および臨床検査科部長兼任と5人の技師で担当しています。うち2名は認定輸血検査技師を取得しています。時間外の輸血業務は中央検査部当直技師が担当し(総数31人)、輸血業務担当者が支援する体制を取っています。

診療スタッフ

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役職氏名専門医・認定医等
医師・部長 佐藤 忠嗣 日本血液学会認定血液専門医・指導医・代議員
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本輸血・細胞治療学会認定医
日本臨床免疫学会評議員
日本自己血輸血学会評議員
神奈川県合同輸血療法委員会世話人
労働衛生コンサルタント
ASH(米国血液学会)会員

日本輸血細胞治療学会認定輸血検査技師 2名

臨床実績

血液製剤取り扱い実績(各年1月〜12月:年度は4月より3月)

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輸血実施患者数2015年2016年2017年2018年H30年度
総数 983 1045

1139

1028

931

同種血のみ 780 779 837 814 713
自己血のみ 227 238 268 193 196
同種血・自己血併用 19 27 34 21 22

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製剤別使用量 2015年 2016年 2017年 2018年 H30年度
  単位 本数 単位 本数 単位 本数 単位 本数 単位 本数
全血製剤 0   10 5 0   0 0  
赤血球製剤 5699 2875 5468 2759 7182 3606 6978 3503 6840 3424
血小板製剤 6450 576 5760 518 6530 536 7185 597 6540 541
新鮮凍結血漿 1486 717 1630 779 2974 1307 3000 1200 2606 1081
自己血 561 289 772 365 645 323 562 289 526 263
アルブミン(g) 18637.5 17375 18600 19150 19750
FFP/MAP比 0.22 0.25 0.36 0.32 0.30
アルブミン/MAP比 0.99 0.93 0.79 0.85 0.86

貯血式を実施していない症例は含まず。

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